理学療法士 恩田誠(トレーナーチームEsperanza)の治療日記

整形外科勤務の理学療法士、恩田誠(トレーナーチームEsperanza)の日々の評価や治療を日記として書いていきます。あくまで個人的な見解や治療結果ですが、誰かしらのプラスになれれば!という思いで細々と書き続けていこうと思います。

走っていると右肩が痛くなる

 

理学療法士の恩田誠です。

 

元々、投球時の右肩の痛みで診ていた野球少年が「最近、小学校の朝マラソンで走っていると右肩が痛くなる」と、久しぶりに来院しました。

 

痛みの場所はピンポイントではなく、三角筋周囲の痛み。腕を振ると痛いとのこと。f:id:onda-pt-nikki:20181017132929j:image

 

右肩甲骨が少し下制・下方回旋(下に下がっている)している状態以外は、特に目立った問題点はありません。

 

そのため、全身的に姿勢や重心位置などをチェックすると右寛骨がわずかに挙上(骨盤の右側が少し上に挙がっている)していました。f:id:onda-pt-nikki:20181017132920j:image

立っている姿勢で骨盤自体が側方に偏位してはいなかったので、足部をチェック。

 

すると舟状骨がわずかに下制(イメージとしては扁平足)、踵骨(かかと)がわずかに回外。重心位置は後方にありました。

f:id:onda-pt-nikki:20181017132943j:image

↑↑↑※少し分かりにくいですが、踵骨回外。

 

足の裏の硬さや足指の動きに対して少し治療を行うと足の状態も改善し、骨盤・肩甲骨の位置も左右差が無くなりました。

 

再度、ランニングの時のように腕を振ってもらうと、右肩の痛みも無くなりました(^^)

 

 

治療自体は本当に些細なものですが、肩が痛いからと、肩のみに着目していては思ったような治療効果が出ないときもあります。また、局所だけでなく動作や姿勢など全身的に状態を診ていけるのがリハ専門職の強みだと思います(^^)

 

※念のため………局所の状態を細かく評価出来ないと全身状態に視野を広げても、かえって評価結果に混乱することもあるのでご注意を(>_<)

 

 

今回は状態を診て、足に問題がありましたが、足を治療したから肩の痛みが全て取れるわけではありません。

 

しかし、つい先日診た別の子も中学1年生とは思えないような外反扁平足になっていました。子供たちの足の状態に、周りの大人が早期に気付けるようにしていかないといけませんね。(>_<)

 

 

 

それでは今回はこの辺で。_(._.)_

五十肩って1年ぐらいで勝手に治るって本当?

理学療法士の恩田誠です。

 

タイトルに挙げた「五十肩って1年ぐらいすると自然に治るって本当?」………


f:id:onda-pt-nikki:20180907130650j:image

 

はい。………3割ぐらい本当で、7割ぐらいは嘘です。

 

 

まず、五十肩という言葉自体が広い意味で使われているので、医療関係者が認識している「いわゆる五十肩」という部分に関しては1年ぐらいで自然に治るということはほとんど無いと思います(^^;

 

いわゆる狭義の意味での五十肩は、関節を包んでいる関節包という膜が肥厚し、重度の可動域制限を伴います。

急性期の安静時痛・夜間時痛が消失した後の凍結期(拘縮期)という段階からは可動域を拡げるための治療を開始することをお勧めします。

※夜間時痛は拘縮期でも出るので、急性期や拘縮期などの病期の見極めは専門家にご相談ください_(._.)_

 

 

では、なぜ1年ぐらいで自然に治るという認識が広まったのか?

いろんな情報をネットで調べられる時代にもかかわらず、現在でもこの認識を持っている患者さんは少なくありません(^^;

 

 

これは、「腱板炎」という関節を安定させる役割をする筋群の炎症により、安静時痛・夜間時痛・可動域制限など、狭義の五十肩と類似した症状が出現する病態のせいだと思います。

 

この「腱板炎」は治療の有無に関わらず、腱板自体の炎症が治まると日常生活に支障をきたすことが無くなる…こともあるからです。

※遠回しに書きましたが、日常生活に支障がなくても可動域制限などは残ることもあります。(^^;

 

 

この「腱板炎」を経験したことがあるご近所さんの話を聞いて、半年~1年放置したけど治らなかった。と問診の時に話している患者さんをよく見かけます。

 

放置していたことで、可動域の改善に時間を要してしまうケースも多くありません(>_<)

 

前に行った勉強会で、肩関節は他の関節に比べて、痛みに対する感覚が鈍いと聞いたことがあります。

ただでさえ感覚が鈍く、何年も前から関節の組織に負担をかけていたことで生じた痛みを、痛みが出てからも放置したままにするのはどうかと思います(^^;

 

 

肩の痛みや可動域制限にも、様々な病態や症状・障害があります。

インピンジメント症候群などは関節の動きを良くすれば改善しますし、石灰沈着なども注射とリハで早めに治るケースもあります。

どんな状態であっても自己判断せず、早めに受診することをお勧めします(^^)

早めに改善できるものを放置したことで、改善に時間を要し、医療費がかさむこともあります。医療費削減のためにも、1度専門家に相談してみて下さい(^^)

 

 

それでは、今回はこの辺で。_(._.)_

三角筋中部線維への超音波治療で可動域が拡がったケース

三郷市の整形外科に勤務する理学療法士の恩田誠です。

 

 最近はサッカーの影響でついついサボりがちになっているブログ(^^;マイペースに書いていきます。

 

 

今回は肩関節周囲炎について。

 

 少し前から、他のスタッフが診ていた患者さんを代わりに診ることになりました。

 

肩の屈曲(前に腕を挙げる動き)90°、外転(横に腕を開く動き)60°と、著明な可動域制限がありました。

 

肩峰下の痛みが強く、軽く圧をかけても痛みがありました。一度は痛みが引いていたそうなのですが、1ヶ月ほど前から痛みが増悪してしまったようです(>_<)
f:id:onda-pt-nikki:20180705000520j:image
 

 

他動運動でも痛みがあるため、関節包の拘縮度合いもハッキリとわからない状態。

 

肩挙上時は、三角筋に過度な緊張が入り、上腕骨頭という腕の付け根が上に引き上げられてしまい、痛みを伴う可動域制限が出ている状態でした。
f:id:onda-pt-nikki:20180705000533j:image

 

そこで、三角筋の状態をチェック。

 

三角筋中部線維には4本の起始腱があるのですが、その腱の間に強い圧痛がありました。
f:id:onda-pt-nikki:20180705000547j:image

 ※写真はイメージです。

 

何年か前の肩関節学会に参加したときに、この部分に硬結や筋スパズムが出来ることがあると聞いた記憶があります。………何年も前なので、どこで誰が話していたかは記憶に無いのですが…(>_<)

 

 

通常、この部分の硬さは徒手的にも改善は可能なんですが、今回は圧痛が強いため超音波を用いて治療してみました。

 

 

仕事の都合上、週1回の来院でしたが超音波での治療を開始して3回目の時には圧痛もほぼ改善し、挙上時の上腕骨頭の引き上げも軽減していました。

 

伸長性が低下した筋へのアプローチも加えることで、3回目の治療後は屈曲135°、外転90°まで可動域が拡がりました(^^)

顔を洗うのもツラかったようですが、最近は痛み無く出来ているようです。

 

 

………とは言え、まだ可動域制限が残っており、日常生活での問題点も取りきれていないので再評価して治療のプランをもう一度組み直さないといけないですね(^^;

 

 

 

いろんな治療法があるので、適した選択が出来て効果が出れば方法は何でも良いと思います。

 

今回の超音波での治療も、あくまで1つの方法です。物理療法などの道具も含めて、早期に改善させられる道筋を立てられるようになっていきたいですね(^^)

 

 

それでは、今回はこの辺で。_(._.)_

 

あぐらをかくと左足首に痛みが出る

三郷市の整形外科に勤務する理学療法士の恩田誠です。

 

 今回はあぐらをかくと左足首に痛みが出るという患者さんに対して行ったアプローチについて。………それを自分自身が忘れないためのブログです。(^^)

 

 

あぐらをかく以外にも歩行時や、最近では安静時にも痛みがあるとのことで、痛みはアキレス腱周囲(外側)・踵骨付着部・距腿関節内に痛みがあると訴えていました。
f:id:onda-pt-nikki:20180620134136j:image

写真を見てわかる人はわかると思うんですが、アキレス腱外側部分の痛みは腓骨筋腱炎の可能性もありますね(^^)

 

 

状態をよく診ると、

足関節底屈時に足部内転が入ってしまい、ニュートラルでの底屈が困難。
f:id:onda-pt-nikki:20180620134157j:image

 

ショパール関節での回外により立方骨が下制しているため、片脚立ちをしたときに少し外側荷重になる。
f:id:onda-pt-nikki:20180620134212j:image

 

それを制御するためか、腓骨筋群・腓腹筋外側頭・腸脛靭帯ー大腿二頭筋間の緊張が強く、一部の硬結部位には圧痛もありました。
f:id:onda-pt-nikki:20180620134231j:image

 

また、関連している部分として大腿直筋・外側広筋・前脛骨筋の緊張も高かったです。

 

 

ちなみに、既往に左アキレス腱を痛めたことがあるとのことでした。(小学生の時のため詳細は不明)

 

 

 

 まず、足関節底屈時に内転が入ってしまうこと、立方骨が下制していて外側支持機構の機能が発揮しづらいことに注目して、底屈時の動きを細かくチェックしました。

 

 

前足部の回内を誘導したり、立方骨を挙上方向に誘導したときに、長母趾屈筋腱・短母趾屈筋の緊張が高まりました。
f:id:onda-pt-nikki:20180620134243j:image

そのため、同部位にアプローチ後、立方骨の下制が軽減し、足関節底屈時の内転も軽減しました。

 

 

腓骨筋群の緊張が取りきれていなかったため、腸脛靭帯ー大腿二頭筋間へのアプローチや外側広筋・前脛骨筋へのアプローチにより、腓骨筋群の圧痛・足関節底屈左右差が改善しました。 

 

 

アライメント修正や足関節底屈運動の修正だけでは腓骨筋群の機能改善は完全に得られず、片脚立ちでの外側荷重は軽度残存。

 

そのため、足を揃えた状態での1cm踵挙げを数回やってもらうと片脚立ちの外側荷重も改善しました。

カーフレイズ時のアキレス腱部の緊張感に左右差があったため、1cm踵挙げは自宅でも行うように指導しました(^^)

 

 

ちなみにこの段階ではあぐらの時の痛みは改善していましたが、長く歩いた時の痛みはもう一度確認してもらうことにしました(^^)

 

 

今回は長母趾屈筋腱・短母趾屈筋へのアプローチがキーポイントになりました。

同じような状態の方の参考になれば幸いです(^^)

分娩時間によっても変わる産後の腰痛

三郷市の整形外科に勤務する理学療法士の恩田誠です。

 

※今回の内容は、あくまで仮説であり、研究などの結果ではないので参考程度にお読みください。

 

 

ネットなどで「出産後の腰痛  原因」と検索すると、だいたいが骨盤の歪みが~とか、妊娠中の反り腰が~とか、インナーマッスルの機能低下が~とか。そういうのが多いですよね?

 

出産経験のある友人に話を聞いても、「産後の腰痛って、骨盤が歪むから、整体とかで骨盤矯正すればいいんでしょ?」って言う人が多いです。

 

 

実際、そういう人が多いのかもしれませんが………通常の腰痛にも様々な原因があるように、産後の腰痛にも原因はいろいろあると思います。

 

 

産後の腰痛=骨盤の歪みが原因

 

これは完全にそういうイメージが広まった結果ですよね。一般の方はそうだと思っても仕方ないかもしれないですが、治療家の人でもそう思ってる人が少なからずいるのではないでしょうか?

 

一般の方にそういうイメージがあるからなのか、整形外科で10年勤務していても、産後の腰痛の方はそれほど診る機会はありません。

 

そのため、あくまで私が診た患者さんの中での憶測になりますが、分娩時間が短かった人ほど骨盤帯の安定性が低下している人が多く、反対に分娩時間が長く、難産傾向にある人は骨盤帯の安定性よりもその他の部分に問題があるケースが多いと感じました。

 

 

なぜ分娩時間によって違いがあるのか?

 

まず分娩時間とは、1時間に6回以上もしくは10分周期で陣痛が始まってから、胎盤を娩出するまでの時間を言います。

 

この時、約10cmほどの赤ちゃんの頭が出てこられるように子宮口が10cmまで開き、赤ちゃんが骨盤内を通れるようにホルモンの働きで仙腸関節や恥骨結合部分の靭帯が緩んでいきます。
f:id:onda-pt-nikki:20180607000157j:image

 
f:id:onda-pt-nikki:20180607000204j:image

 

この子宮口の開きや仙腸関節・恥骨結合部の緩みにはかなり個人差があり、それにかかる時間も人によって全然違います。

 

そのため、子宮口の開くペースが早い人は産後に仙腸関節の不安定性などが出やすいのではないか?

出産は短時間で済むかもしれないが、その後の産後ケアに時間が必要なのではないか?

子宮口の開くペースが遅い人は、出産が長時間になるが産後の骨盤帯の不安定性は出にくいのではないか?

もしこの時間の差がホルモン分泌量や体質によるものなら、障害予防・再発予防に向けてのプランニングにもこれを考慮しなければいけないのではないか?

 

あくまで予想です。

 

だから何?と思う人もいるかもしれませんが、治療する上では必要な情報収集だと思います。

 

 

ちなみに分娩時間が短いからと言って、出産時にはものすごい痛みを伴うので、決して楽な出産などないと思います。

出産に立ち会った方はわかると思いますが、本当に女性はすごいなーと思うでしょうね。というか私はそう感じました(^^;

 

ただでさえ命がけな出産という行為の後に生じる腰痛。骨盤の歪みが原因と単純に決めつけず、その原因を明確にして、改善への道筋を早い段階で立ててあげることも治療家として必要な要素ではないでしょうか?(^^)

 

 

ちなみに私の妻の分娩時間は36時間でした。初産の場合、この時間が長くなりやすいのですが、子宮口が10cmに開ききるまでにも間隔が短くなった陣痛が襲ってきますし、近くで見ていてとても大変な出産でした。

 

しかし出産後数日してから、念のため骨盤の状態をチェックしましたが特に問題はありませんでした。2年経った今も腰痛は出ていません。

 

 

分娩時間が産後腰痛に全く関係ない要素ではないかもしれない、と思うきっかけになった妻の出産でした。

もちろん産後の生活習慣も影響してますけどね(^^)

 

 

あくまで仮説ですが、誰かしらの参考になれば幸いです。_(._.)_

意外とできない「ゆりかご運動」~腰背部痛予防~

三郷市の整形外科に勤務する理学療法士の恩田誠です。

 

 最近は健康番組も増えてますし、腰痛などの予防や、良い姿勢に興味がある方が多いですね(^^)

 

過去のブログでも姿勢に関する個人的な考え方を書きましたが、今回も似たような感じで腰背部痛の予防について書いていきます。

 

過去のブログ↓↓↓

良い姿勢をとり続けることの難しさを伝えることも重要。 - 理学療法士 恩田誠(トレーナーチームEsperanza)の治療日記

 

 

ぎっくり腰などの急性期の症状ではなく、慢性的な腰背部痛に悩んでいる患者さんの中に背骨自体の動きが出にくい方は非常に多いです。

 

背中を丸める、反らす、横に倒す、身体を捻る。どれも必要な動きですし、どこかに動きづらさが出てしまうとどこかに負担がかかってくることもあります。

……まぁ、ちょっとぐらいどこかが悪くても、どっかしらで負荷を和らげたり、対処してくれるのが人の身体の良いところなんですけどね(^^)

 

 

 

話を戻します。冒頭に述べたように良い姿勢に興味を持っている方たちの中で、背すじを伸ばすことを意識している方は要注意なんですが、

 

「ちゃんと身体を丸めることも出来ますか??」

 

 背すじを伸ばす。胸を張る。肩甲骨を寄せる……などなど。

普段から姿勢を気を付けているのに背中や腰が痛いという方に、背中を丸めることが出来ない方がいます。

 

 

上記に心当たりがある方は次に紹介する運動が出来るかどうか試してみてください(^^)

 

 

※ほんとは動画で載せようと思ったんですが、動画が載せられないみたいなので、画像で失礼します_(._.)_

 

 

まずは仰向けで両膝を抱えます。
f:id:onda-pt-nikki:20180524231713j:image

 

その後、上下に身体を揺らしていきます。
f:id:onda-pt-nikki:20180524231723j:image

 
f:id:onda-pt-nikki:20180524231734j:image

 

スムーズに、ゆりかごのように身体を上下に揺らすことが出来る方は、そのまま起き上がって体育座りのような姿勢を取れるかどうかも試してみましょう。

 

 

この動きが出来ないぐらい……、

背骨を丸めることが出来ない。

肩甲骨と胸郭を含めて動かせない。

腰椎と骨盤が連動して動かせない。

 

…これらは腰や背中に痛みが出る要因になるので、ぜひチェックしてみてください(^^)

 

 

 

それでは今回はこの辺で。_(._.)_