理学療法士 恩田誠(トレーナーチームEsperanza)の治療日記

整形外科勤務の理学療法士、恩田誠(トレーナーチームEsperanza)の日々の評価や治療を日記として書いていきます。あくまで個人的な見解や治療結果ですが、誰かしらのプラスになれれば!という思いで細々と書き続けていこうと思います。

長く歩くと股関節の付け根が痛くなる。

三郷市の整形外科に勤務する理学療法士の恩田誠です。

 

長く歩くと右股関節の付け根(前面)が痛くなる患者さんを診る機会があったのでまとめてみました。

股関節の付け根の痛みと言っても様々な部分が影響してくるので、今回もそういう人もいるんだろうな~という視点で読んでもらえればと思います(^^)

 

 

今回の患者さんは長時間の歩行で痛みがある以外は股関節を動かした時の痛みも、短い距離での歩行も痛みがありませんでした。

歩き方の特徴は右脚に体重がもっともかかる位置で骨盤(お尻)が右側にブレやすいことです。左も多少横にブレますが、右の方が強い印象でした。

このような特徴の歩き方の場合、教科書上ではよく中殿筋というお尻の筋肉の筋力低下が問題と書かれていることもあります。

 
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 しかし、今回は中殿筋自体に筋力低下はありませんでした。上に書いたように股関節の動作時痛もなく、著明な可動域制限もありません。

 立っている姿勢で少し右の股関節が内旋(太ももの骨が内側に捻られた状態)しているぐらいでした。

 

1回目の治療で股関節の位置を調整するため、大腿筋膜張筋の硬さをとり、腸脛靭帯の滑走性改善を図り、立っている状態での股関節の位置は改善できました。


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しかし、3回目の治療開始前の問診で『ちょっと良くなった感じはするけど、まだ長く歩くと痛みが出る』とのことでした。

 

何か見落としていることがあるはず。。と再評価したところ、骨盤の下制方向の動きに制限がありました。

 
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この骨盤の動きが出ないことで、歩行で右脚に体重が乗ったときにうまく股関節外側の筋肉に力が入りきらず、股関節の前面(鼠径部)に負担をかけてしまっていたようです。

 

 

そのため、骨盤の下制の動きを出す運動を行いました。

仰向けで寝て、脚を浮かさずに交互に下方へ伸ばしてもらうだけ。骨盤(下図の丸部分)から動かすイメージで。うまく動かせない場合、膝が過度に曲がってしまうので要注意です(^^)

 
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この運動を数回行ったところ、歩き方も改善しました。また、すでに治療後3週間が経過していますが、長時間歩いた時の痛みは出ませんでした(^^)

 

 

 

改善したのは良かったことですが、3回目の治療でなく、もっと早い段階で気付いていればすぐに変化が出せる状態だっただけに、自分の力不足を実感しました(>_<)反省ですね。

 

 

まだまだ伸びしろがあるとポジティブに考えて今後も頑張っていきます。

それでは今回はこの辺で(^^) 

横座りで座っていると首が痛くなる。

三郷市の整形外科に勤務する理学療法士の恩田誠です。

 

今回は座っていると首から右肩・背中にかけて痛みが出る患者さんを診ました。

 

座っていると、と言っても椅子では痛みなし。横座りをしている時に痛みが出てくる。動作時痛なし。頸椎の右回旋(顔を右に向ける動き)に制限あり。

 

 

まず、肩甲骨の位置をチェック。今回は右の肩甲骨が下制(下に下がっている)と軽度の下方回旋(肩甲骨の肩に近い方が少し下がっている)の状態にありました。↓↓↓下図参照。
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 横座りをチェックすると、さらに肩甲骨の位置が下制方向に変化してきました。

 

肩こりや頚椎疾患など、肩甲骨の位置によっては治療してくる内容が変わってくるのでチェックが必要ですよね(^^)

 

この方は下制ぎみに肩甲骨があったため、胸郭(肋骨回り)下部の動きと骨盤の位置や左右差もチェック。


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右の寛骨が少し後傾していました。(イメージとしては骨盤が少し右を向いている状態)


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そのため、骨盤の位置を一時的に修整しました。すると肩甲骨の下制が改善、頚椎右回旋の可動域も拡大しました。

 

今回は座ったままで変化を確認するために、座位にて骨盤を左回旋位で固定して患者さんには身体を右に捻ってもらうという方法を選択しました。

 

様々なアプローチがあるので、変化があれば方法は別に何でも良いと思います!(^^)

 

 

ただ、ここで終わってしまってはすぐに状態は戻ってしまうので、骨盤の位置を変えてしまっていた要因を見つけないといけませんよね。

 

ちなみにこの方は、右股関節に軽度の屈曲制限と内旋制限がありました。筋肉の柔軟性低下が主な要因であったため簡単なストレッチを自宅で行ってもらうことと、生活習慣や環境、仕事での姿勢や内容などに関連した指導をさせていただきました。

 

 

首周辺の症状と言ってもいろいろな部分が影響します。患部の状態をチェックした上で全身に視野を広げていかないと原因を見落としてしまう可能性もあるな!と、改めて感じさせてもらったのでまとめてみました(^^)

 

 

それでは今回はこの辺で(^^)

 

※写真は全てクリニカルマッサージという本から引用。

 

小指が曲げられないから上手く字が書けない。

三郷市の整形外科に勤務する理学療法士の恩田です(^^)

 

少し前の話ですが、年末に肩の治療をしていた患者さんから「小指が曲げられないせいか年賀状を書くのに上手く字が書けなかった」という訴えがありました。

 

右小指には屈曲制限(曲げられない)がありますが、これが字を書くときにどのように作用するかイメージ出来ますか?

 

小指を握った状態と伸ばした状態では 、字を書くときの肩の動きが変わってきます。

①小指を握る
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②小指を伸ばす


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※写真がわかりづらくてすみません_(._.)_ほんとかな?と思った人は試してみてください。

 

小指を伸ばした状態で字を書こうとすると腕が外側に開きやすくなるため、字を書くときの横へのブレが大きくなります。そのため、字が上手く書けないことにも繋がることがあります。

 

※小指を伸ばした状態の方は肩に問題がなければ脇を閉めた状態にしたり手首を反らすことでも代償出来ますが、結果的に肩や肘などに負担をきたす場合や必要以上に親指に力を入れてしまう場合もあります。

 

小指が曲がらない状態だからと言って、字を上手く書くために小指の屈曲制限を改善すればいいか?(改善するまで字を書くことを待ってもらえばいいか?)………というと、それは違うと思います。

 

曲げられない、曲げる方向に力が入らないのであれば補助出来るものを使う方法もあると思います。

 

全く特別なことではないですが、ペーパータオルやティッシュペーパーを丸めたものを小指で握りながら、字を書いてもらうだけでも書き方に変化が出てきました(^^)

この患者さんは最終的に50枚全て手書きで年賀状を書いたそうです。。すごい。自分には無理。笑
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このようにちょっとしたことで変化を感じることや、肩などの動きに手首や指が関連していることを理解した上で、患者さんにも自分の現状に向き合ってほしい、と思います(^^)

 

それでは今回はこの辺で(^^)

腰の痛みは股関節が原因!?

三郷市の整形外科に勤務する理学療法士の恩田です(^^)

 

今回は「腰の痛みは股関節が原因!?」とタイトルに挙げましたが、別にそれだけが原因と言うことはありません(^^;

 

ただ、股関節の問題で腰に痛みを出している方は多いです。例えば、「前かがみになると痛い」「長く座っていると痛い」「階段を昇るときに痛い」などなど。

なので、今回は股関節を曲げる動きに制限をきたすことで生じる腰の痛みの原因(の一部)について書いていきます(^^)

 

股関節を曲げる時に太もも前の付け根が痛くなる・つりそうになる・詰まる感じがする。という方は意外と多いように感じます。

これは股関節の動きがうまく生じないために関節の前側や、さらに表層にある筋肉に負担がかかり痛みが生じています。特に大腿直筋という太ももの前側の筋肉が過度に力を(無意識に)入れることで、上記のような症状が出てきやすくなります(>_<)

 

その結果、股関節の動きをカバーしようとして骨盤が後ろに傾いたり、本来捻りの動きが少ない腰椎を捻って代償しようとすることで腰に負担がかかってくる恐れがあります。

 

大腿直筋が過度に緊張してしまう原因は、腸脛靭帯の滑走性やハムスト近位部の硬さなど幾つかありますが、今回は縫工筋という筋肉に着目してみましょう(^^)

 

縫工筋はこれ↓↓↓
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この縫工筋は最も浅層(表面の方にある)で細く薄っぺらい筋肉だと言われています。しかし骨盤から脛(すね)の骨に付くため、股関節や膝の動きに関連する重要な筋肉です。表面の方にあり、2つの関節をまたぐため、様々な動きで働いている筋肉なので、股関節の動きを良くも悪くも出来る筋肉になります。

 

そのため、縫工筋が悪い方向に影響している場合は、この縫工筋の近位部(下図)を緩めることで大腿直筋の緊張が取れて股関節を曲げる可動域が広がり、結果的に腰の痛みが軽減するケースがあります。

↓↓↓だいたいこの辺を筋肉の滑走を出すイメージで動きを出しました。
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このようにあくまで腰痛の原因の1つではありますが、知っておくことでなんとなく腰が痛いな~というときの対処法の1つとしてアプローチやセルフケアとしても行えます(^^)

実際に座位や前屈時の腰痛で来院された方で、縫工筋のアプローチを行い腰の痛みが改善された方もいました。

 

このように、ちょっとしたことで改善する症状もあるので、参考になった方が1人でもいれば幸いです(^^)

 

 

では、今回はこの辺で。

 

※写真は全てクリニカルマッサージという本から引用。

上を向くと首の上の方が痛い

三郷市の整形外科に勤務する理学療法士の恩田誠です(^^)

 

今回は「上を向くと首の上の方が痛い」という患者さんが来たのでまとめてみました。

 

上を向くと痛いと言っても場所や動き方によっても原因は違います。

今回はこの辺が痛いとの訴えがありました。

↓↓↓
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首の動きで痛みが出たときに姿勢を正したり、肩甲骨の位置を少し変えたりすると痛みが減ることもあるんですが、今回の患者さんはそれでは痛みが引きませんでした。(>_<)

 

なので、詳しく首回りの状態を診てみると胸鎖乳突筋という筋肉に3ヵ所、圧痛(押したときの痛み)がありました。


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この3つの圧痛点…今回はそれぞれ別の影響で痛みを出していました(^^;

まずは鎖骨に近い箇所。深呼吸をしてもらったときに、どうも鎖骨や胸骨といった場所がうまく動いてこなかったので、関連する腹直筋の上の方をリリースしてみました。


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そうすると呼吸時の鎖骨や胸骨の動きが出てきて、胸鎖乳突筋の鎖骨に近い部分の圧痛もなくなりました(^^)

 

次に耳に近い上の部分。

ここは直接、圧痛点のある場所にアプローチをしてみましたが良い反応が出なかったので、物を噛むときに使うアゴの筋肉と後頭筋という筋肉の近くにアプローチしたら改善しました(^^)

 
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最後に胸鎖乳突筋の真ん中辺り。通常、上下の部分のアプローチである程度硬さが取れてくるのですが今回はそれが残っている状態でした(´Д`)

そこで広頚筋という首の前側の表面に付いている筋肉にアプローチを少し行っただけで改善が見られました(^^)

 
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これで3ヶ所の圧痛点は無くなり、上を向く動きもかなり良くなったのですが、長期的に上述したような状態だったので治療後にもわずかにC2/3間(頸椎の2~3番目の間)に可動域の制限が存在し、違和感が残ってしまいました(´Д`)その後、首の関節自体にアプローチをして改善しましたが…。

 

今回の患者さんは仕事で重いものを持つことが多く、歯の食いしばりが強いことを以前に歯医者でも指摘されていたようです。また普段の姿勢(Head Forward:頭部前方偏位)も関係していました。

首の痛みと言ってもいろいろな部分が関連してくるので参考にしてもらえたら幸いです(^^)

それでは、今回はこの辺で_(._.)_

 

※写真は全てクリニカルマッサージという本から引用。

ブログ始めます。

三郷市の整形外科に勤務する理学療法士の恩田 誠です。


ブログ始めました!


普段の臨床で、患者さんの状態を詳しく診て治療していくなかで、うまく効果が出たものを中心に何か形として残していけるよう、日記的な感覚でブログを書いてみようと思います(^^)

あくまで1つのアプローチに対する結果や考え方なので合わない人もいるでしょうが、そういう診方もあるんだなぐらいの感覚で読んでもらえれば良いと思ってます!


+αとして、患者さん自身にも知っていて頂きたいことも書いていければいいなーと思ってます!
普段、患者さんを診ていく中で、「患者さん自身が自分の身体のことを知ろうとしている」人ほど治療の効果が出やすく、状態も良い方向に維持できている、ということを多く経験します。

なので、身体に痛みを抱えている方々に、少しでも解決に向けたヒントを与えられるようなブログにしていきたいと思うので宜しくお願いします_(._.)_