理学療法士 恩田誠(トレーナーチームEsperanza)の治療日記

整形外科勤務の理学療法士、恩田誠(トレーナーチームEsperanza)の日々の評価や治療を日記として書いていきます。あくまで個人的な見解や治療結果ですが、誰かしらのプラスになれれば!という思いで細々と書き続けていこうと思います。

肩甲骨の動きを良くする~前鋸筋編~

三郷市の整形外科に勤務する理学療法士の恩田誠です。

 

クリニックで診る肩の疾患の方や、トレーナーの現場で見る選手など、肩甲骨の動きが出にくい人は多いですよね?

 

よく肩甲骨の内側に指が入るぐらい内側の筋肉が柔らかくないとダメ!みたいなことを聞くことがあります。

 

もちろん肩甲骨の可動範囲が広いことは良いことですし、その上で動作をするときに肩甲骨を安定させられる状態であれば文句なしだと思います。

 

しかし、肩甲骨の内側の筋肉を柔らかくするだけで肩甲骨の動きが良くなったケースはあまり見かけません(^^;

 

肩甲骨の内側にある筋肉と言えば僧帽筋や菱形筋があります。
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特に菱形筋が硬くなっているケースの場合ですが、単独で菱形筋を緩めようとしても変化が出にくいことが多かったです。

 

菱形筋の硬さがあるときに、もう1つチェックしておいた方が良いのは、菱形筋の拮抗筋(反対の働きをする筋肉)である前鋸筋の柔軟性です。

 

前鋸筋は肩甲骨の裏側(肋骨側)から脇腹(肋骨)に付いている筋肉です。
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この筋肉は肩甲骨の安定性にも関連しますし、外腹斜筋というお腹の筋肉とも連結する重要な筋肉です。

 

臨床の中で肩甲骨の動きを出すために前鋸筋にアプローチをすると、前述したような「肩甲骨の内側に指が入るぐらい」肩甲骨の動きが良くなるケースがあります(^^)

 

もちろん、前鋸筋自体の柔軟性の低下なのか、肋骨の動きが悪いせいなのか…ちゃんと判断は必要です。

 

前鋸筋自体の柔軟性低下が疑われるなら、横向きの姿勢で肩甲骨の動きを出しながら、写真の矢印方向に軽くさするようなイメージで筋肉の硬さをとってもらうと良いと思います(^^)
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※強く押してしまうと結構強い痛みが出るので注意が必要。

 

 

 

肩甲骨は筋肉で支えられている骨なので、内側の筋肉だけを緩めれば動きが良くなるというわけではありません。

今回の内容のように拮抗筋である前鋸筋に着目したり、肋骨などの胸郭の動き、鎖骨、胸骨、脊柱、腹部など様々な視点からアプローチすることで動きが良くなってきます。

 

今回も「肩甲骨の動きを良くする」ための1つの方法ですが、少しでも参考になれば幸いです(^^)

 

 

それでは、今回はこの辺で。_(._.)_

 

※写真は全てクリニカルマッサージという本から引用。