階段を降りるのがつらい、膝が痛い。
階段を降りるのがつらい、膝が痛いという患者さんは多いです。
このような症状を訴えている患者さんが来院したときに診察室でのやり取りを盗み聞きすると、
患者「階段を降りる時に膝が痛いんです」
医者「あー太ももの筋肉が弱いんですよ、太ももの前側の筋肉を鍛えてください」
………ほんとにそれだけでしょうか?
たしかに太ももの筋肉がしっかりと力の入りやすい状態になっていることは大切だと思いますが、それだけで階段を降りるときの痛みが取れるとは思いません(^^;
それでも患者さんからは「筋肉を鍛えた方が良いんでしょう?」と聞かれます。
なので、今回は敢えて筋肉の働きを良くする運動について書いてみましょう。
(※実際の臨床ではもっと細かく状態をチェックして治療プランを立てるので、いきなり運動しましょうと、普通はなりませんのでご注意を。)
今回着目する筋肉はふくらはぎの筋肉です。
↓↓↓
まず、階段を降りる時の動きを思い出してください。
この時、始めに地面に着くのは通常、足のつま先からではないでしょうか?つま先が着いてから、踵(かかと)が着く。
この踵が着くとき、ふくらはぎの筋肉が衝撃を緩和させるために遠心性収縮(伸ばされながら力を入れている状態)という力の入り方で、踵が地面に着くスピードを遅らせてくれています。この緩衝作用が膝などの負担を減らしてくれる場合があります。
遠心性収縮という力の入り方は、筋肉の負担が大きいので、それに耐えられる程度の筋力は必要になってきます。
では、どうやって鍛えたらいいか?
私の場合は、出来るだけ簡単で普段の生活のちょっとした時にやってもらえれば十分と思って運動の指導をするので、やり方は簡単です。
【まっすぐ立ち、足を揃えて、踵の上げ下ろしをゆっくり行う】だけです。
回数も厳密に決めず、歯磨きの時や台所に立っているときなど、やれるときに好きなだけやってください。壁や台などに指を付けて安定した状態から始めてもらって構いません(^^)
※やりすぎは注意!100回も200回もやらなくて良いです(^^;ちゃんと意識してやれば5回でも10回でも大丈夫です。
ただし、いくつか注意点があります。上にも書きましたが、
- ゆっくりと踵の上げ下ろしを行う。
- 足を揃えて、まっすぐ(天井から糸で引っ張られるようなイメージで)上げて下ろす。
踵を上げたときに足の内側や内くるぶしが離れないように意識してやってみましょう!
※足の骨の配列や足首の動きの影響で、頑張ってもうまく出来ない方もいるので、そういう場合はお近くの専門家に診てもらってください。
最近は、子供も踵を上げたままキープできない子も増えています。
この前、指導している少年野球チームでもチェックするとほとんどの子が踵を上げて30秒キープ出来ませんでした。
立っているときも歩いている時も地面に着いているのは足だけですから、一度自分の足の状態や足首回りの筋肉の状態を見直してもらうと良いと思います(^^)
今回紹介した運動だけで階段を降りるのが楽になるわけではありませんが、筋力が落ちていたり、うまく力が入らない人も多いので参考になれば幸いです。
それでは今回はこの辺で。_(._.)_