反対側の肋骨が動きにくくて肩が挙がらない
右の五十肩(拘縮肩)で運動器リハ開始時は屈曲80°(腕を前に挙げる)、外転50°(腕を横に開く)だった患者さんが現在は座位で屈曲140°、外転120°まで挙がるようになりました。ちなみに腕を下に垂らした状態が0°です(^^)
仰向けに寝た状態で治療者側が動かすと150°まで腕が挙がりますが、それ以降は肩上方の痛みと後方の伸張感を訴えます。
この患者さんの肩甲骨は前傾(イメージとしては猫背)と下方回旋(イメージとしてはなで肩)の位置にありました。
そのため首周りの筋肉や三角筋という筋肉にも過度に力が入ってしまい肩の動きを制限していました。頭部・頚部・前腕からのアプローチも加えることで首回りや三角筋の硬さが取れましたが、それだけでは不十分です(>_<)
長期的に前述した肩甲骨の位置になっていることで肩甲骨だけでなく肋骨の動きにも左右差が出てきてしまいます。
この方の場合は右肩甲骨の位置の影響で体幹がやや左回旋(身体が左を向いている)してしまい、左の下位肋椎関節(背骨と肋骨間の関節)にも制限が出ていました。
この部分の動きが悪くなると、腕を挙げてきた時の背中を伸ばす動きや、肩甲骨が後傾する動きも制限してしまい、結果的に腕が挙がりづらくなってしまいます。
徒手的なアプローチでも改善は可能ですが、この患者さんは仕事の都合上、週1回の通院だったので自分で出来る運動を指導しました。
●運動方法
仰向けで、筒状に丸めたバスタオルを背骨に垂直に当てて寝る。当てる場所は寝たときにみぞおちの真下にくる辺り。↓↓↓
両膝を揃えて立てる。腕は90°横に開く。
この状態で肩が地面から浮かないように膝をゆっくり交互に倒す。これを数回繰り返す。
※肩を横に開くと痛い方は、なるべく力を抜いて腕を開ける範囲で構いません。
肋骨部分の動きに左右差がある場合は、膝を倒した時に行きにくい方が出てくるので、行きにくい方を多めに動かすのも良いと思います(^^)
簡単にできる運動ですし、慢性的な腰痛のある方にも効果的なので、ぜひ実践してみてください。
ちなみに、この患者さんは上記の運動後に屈曲160°まで可動域が拡大し、肩上方の痛みが軽減しました。
しかし、あくまで可動域を制限している様々な要素のうちの1つなので、治療の中の1つの方法論や知識として考えてもらえるとありがたいです。
少しでも参考になれば幸いです。
それでは、今回はこの辺で。_(._.)_