理学療法士 恩田誠(トレーナーチームEsperanza)の治療日記

整形外科勤務の理学療法士、恩田誠(トレーナーチームEsperanza)の日々の評価や治療を日記として書いていきます。あくまで個人的な見解や治療結果ですが、誰かしらのプラスになれれば!という思いで細々と書き続けていこうと思います。

分娩時間によっても変わる産後の腰痛

三郷市の整形外科に勤務する理学療法士の恩田誠です。

 

※今回の内容は、あくまで仮説であり、研究などの結果ではないので参考程度にお読みください。

 

 

ネットなどで「出産後の腰痛  原因」と検索すると、だいたいが骨盤の歪みが~とか、妊娠中の反り腰が~とか、インナーマッスルの機能低下が~とか。そういうのが多いですよね?

 

出産経験のある友人に話を聞いても、「産後の腰痛って、骨盤が歪むから、整体とかで骨盤矯正すればいいんでしょ?」って言う人が多いです。

 

 

実際、そういう人が多いのかもしれませんが………通常の腰痛にも様々な原因があるように、産後の腰痛にも原因はいろいろあると思います。

 

 

産後の腰痛=骨盤の歪みが原因

 

これは完全にそういうイメージが広まった結果ですよね。一般の方はそうだと思っても仕方ないかもしれないですが、治療家の人でもそう思ってる人が少なからずいるのではないでしょうか?

 

一般の方にそういうイメージがあるからなのか、整形外科で10年勤務していても、産後の腰痛の方はそれほど診る機会はありません。

 

そのため、あくまで私が診た患者さんの中での憶測になりますが、分娩時間が短かった人ほど骨盤帯の安定性が低下している人が多く、反対に分娩時間が長く、難産傾向にある人は骨盤帯の安定性よりもその他の部分に問題があるケースが多いと感じました。

 

 

なぜ分娩時間によって違いがあるのか?

 

まず分娩時間とは、1時間に6回以上もしくは10分周期で陣痛が始まってから、胎盤を娩出するまでの時間を言います。

 

この時、約10cmほどの赤ちゃんの頭が出てこられるように子宮口が10cmまで開き、赤ちゃんが骨盤内を通れるようにホルモンの働きで仙腸関節や恥骨結合部分の靭帯が緩んでいきます。
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この子宮口の開きや仙腸関節・恥骨結合部の緩みにはかなり個人差があり、それにかかる時間も人によって全然違います。

 

そのため、子宮口の開くペースが早い人は産後に仙腸関節の不安定性などが出やすいのではないか?

出産は短時間で済むかもしれないが、その後の産後ケアに時間が必要なのではないか?

子宮口の開くペースが遅い人は、出産が長時間になるが産後の骨盤帯の不安定性は出にくいのではないか?

もしこの時間の差がホルモン分泌量や体質によるものなら、障害予防・再発予防に向けてのプランニングにもこれを考慮しなければいけないのではないか?

 

あくまで予想です。

 

だから何?と思う人もいるかもしれませんが、治療する上では必要な情報収集だと思います。

 

 

ちなみに分娩時間が短いからと言って、出産時にはものすごい痛みを伴うので、決して楽な出産などないと思います。

出産に立ち会った方はわかると思いますが、本当に女性はすごいなーと思うでしょうね。というか私はそう感じました(^^;

 

ただでさえ命がけな出産という行為の後に生じる腰痛。骨盤の歪みが原因と単純に決めつけず、その原因を明確にして、改善への道筋を早い段階で立ててあげることも治療家として必要な要素ではないでしょうか?(^^)

 

 

ちなみに私の妻の分娩時間は36時間でした。初産の場合、この時間が長くなりやすいのですが、子宮口が10cmに開ききるまでにも間隔が短くなった陣痛が襲ってきますし、近くで見ていてとても大変な出産でした。

 

しかし出産後数日してから、念のため骨盤の状態をチェックしましたが特に問題はありませんでした。2年経った今も腰痛は出ていません。

 

 

分娩時間が産後腰痛に全く関係ない要素ではないかもしれない、と思うきっかけになった妻の出産でした。

もちろん産後の生活習慣も影響してますけどね(^^)

 

 

あくまで仮説ですが、誰かしらの参考になれば幸いです。_(._.)_