理学療法士 恩田誠(トレーナーチームEsperanza)の治療日記

整形外科勤務の理学療法士、恩田誠(トレーナーチームEsperanza)の日々の評価や治療を日記として書いていきます。あくまで個人的な見解や治療結果ですが、誰かしらのプラスになれれば!という思いで細々と書き続けていこうと思います。

肩を120°以上挙げるために水平屈曲の動きを見る

三郷市の整形外科に勤務する理学療法士の恩田誠です。

 

今回は肩の挙上(屈曲:腕を挙げる)可動域の制限に対して烏口腕筋と上腕二頭筋短頭にアプローチした内容をまとめていきます。

 

まずタイトルにあげた水平屈曲の動きを見る理由は、肩の後側の筋肉の柔軟性をみるためと、肩前方のつまり感や痛みの有無をみるために行います。

 

簡単にできるチェック法としては、可動域の制限がある方の手で反対の肩を持てるか?
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その状態で肘を上に挙げられるか?
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この動きに制限があると腕を挙げる動きにも制限が出てきます。

 

 

 この動きで肩の前側につまる感じや痛みがある場合、小結節という上腕骨の突起が関節内にスムーズに入っていけていない可能性があります。
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肩の後側の筋肉や関節包の硬さがあっても制限や前方の痛みが出てきますが、前述したように今回は「烏口腕筋・上腕二頭筋短頭」に着目します。

 

まず、どんな筋肉か。
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図で見るとわかるように上腕の内側で並ぶように筋肉がついています。

2つの筋肉に硬さがあったり、境目が分かりにくくなっている場合は、先程の肩の動きで上腕骨を前方に引き出すように動いてしまい、小結節が関節の前側で引っ掛かってしまいます。それによりつまり感や痛みが出ます(>_<)

 

治療の時はできる限り腕の力を抜いた状態で、筋肉を横断するようにマッサージをしたり、2つの筋肉の間の滑走を出すようにアプローチすることで水平屈曲の可動域が拡大し、腕を挙げる動きも可動範囲が広がってきます(^^)
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野球などの投球動作をする選手は投球側の筋肉が硬くなっていることが多いので、セルフケアとしてもやってもらうことがありますが、腕の内側は動脈や神経が通っていますから強く押しすぎたりしないように注意してください(>_<)

 

 

それでは今回はこの辺で。_(._.)_

股関節を曲げるとつまる感じがする。

三郷市の整形外科に勤務する理学療法士の恩田誠です。

 

股関節を曲げる時(膝を胸につけるように脚を抱える時)に股関節の前側につまるような感覚がある場合は何かしらの影響で股関節の動きに制限がかかっている場合が多いです。

 

この、つまる感覚がどの状態の時になるのか…?

仰向けの時に脚を抱えてもつまる感じがするのか?脚を踏み出して体重をかけた時につまる感じがするのか?座って脚を挙げようとした時につまる感じがするのか?などなど。

 

状況に応じて、関連する原因が変わってきます。そのため実際に股関節のつまり感を感じる方は、どの状況でつまり感が出現するのかを確認した上で、専門家の方に相談すると改善が早くなるケースがあります(^^)

 

ちなみに先程挙げた条件に対して一例をあげるとすれば、

  • 仰向けの時に脚を抱えてもつまる感じがする。

⇒体重が掛かっておらず、背骨などの動きも出づらい状態のため、股関節自体に原因がある可能性が大きい。

 

  • 脚を踏み出して体重をかけた時につまる感じがする。

⇒体重をかけているので、足首などの影響を受けてる可能性もある。また骨盤の位置や背骨の状態も考慮しないといけない。

 

  • 座って脚を挙げようとした時につまる感じがする。

⇒脚を挙げるときに骨盤や体幹部の安定性がない。座っている時の重心の移動なども影響する。例えば、右脚を挙げたいのに右のお尻に重心が掛かっていると脚が挙げづらくなる。

 

 

あくまでこれは一例ですが、原因が異なるなら治療の方法も変わってきますので、どの時に痛みが出るのかはかなり重要です!

風邪やインフルエンザの症状で病院に行ったのに血圧を下げる降圧剤を処方されたら、もうどうして良いかわかりませんよね?笑…それと同じ感覚で捉えてもらえると良いと思います(^^)

 

ちなみに仰向けで脚を抱える時に足首に力が入っていたり、足首を90°付近で固定した状態でも条件が変わってくるので注意が必要です。

 

 

【股関節のつまり感が出やすい状態の一例】

今回は股関節自体に問題があり、かつ筋肉自体の問題で制限を出しているものを幾つか紹介します。

 

  • お尻の筋肉が硬い。単純な柔軟性の低下もあり得る。

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  • 太ももの前の筋肉が過剰に力が入る。

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股関節単独で働く時と比べて、股関節を動かす軸がブレやすい。

 

  • もも裏の筋肉の付け根が硬い。

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大腿骨頭という太ももの骨の付け根を前に押し出してしまう。

 

  • 太ももの内側の筋肉が硬い、曲げたときに過度に力が入る。

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太ももの骨を内側に引き付けすぎてしまい、曲げる動きの中で早い段階で股関節の前内側にかかる圧力が強くなってしまう。

 

  • 縫工筋という筋肉の滑走が悪い。

これは以前にブログで書いたので、そちらを参考にしてみてください。↓↓↓

腰の痛みは股関節が原因!? - 理学療法士 恩田誠(トレーナーチームEsperanza)の治療日記

 

  • 腸脛靭帯の滑走性が悪い。

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これは説明すると長くなるので別の機会でまとめたいと思います(^^;

 

 

 

などなど。

股関節周囲の筋肉だけでも、ざっと挙げるとこれぐらいは出てくるので、どれだけ最も影響の大きい原因に早く辿り着けるかが重要になると思います。

 

これは治療者側だけの話ではなく、患者さん自身も自分が「何をすると痛みがでるのか?」「どの動きに不安があるのか」など、ちゃんと自分の状態を伝える努力は必要だと思います。

難しいかもしれないですが、自分自身の身体を他者が100%理解するのは無理ですからね(^^;自分自身の身体と向き合うことで解決策も出やすくなることがあると思います!

 

それでは今回はこの辺で。_(._.)_

階段を降りるのがつらい、膝が痛い。

三郷市の整形外科に勤務する理学療法士の恩田誠です。

 

階段を降りるのがつらい、膝が痛いという患者さんは多いです。

このような症状を訴えている患者さんが来院したときに診察室でのやり取りを盗み聞きすると、

 

患者「階段を降りる時に膝が痛いんです」

医者「あー太ももの筋肉が弱いんですよ、太ももの前側の筋肉を鍛えてください」

 

………ほんとにそれだけでしょうか?

たしかに太ももの筋肉がしっかりと力の入りやすい状態になっていることは大切だと思いますが、それだけで階段を降りるときの痛みが取れるとは思いません(^^;

 

 

それでも患者さんからは「筋肉を鍛えた方が良いんでしょう?」と聞かれます。

なので、今回は敢えて筋肉の働きを良くする運動について書いてみましょう。

(※実際の臨床ではもっと細かく状態をチェックして治療プランを立てるので、いきなり運動しましょうと、普通はなりませんのでご注意を。)

 

 

今回着目する筋肉はふくらはぎの筋肉です。

↓↓↓
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まず、階段を降りる時の動きを思い出してください。

 

この時、始めに地面に着くのは通常、足のつま先からではないでしょうか?つま先が着いてから、踵(かかと)が着く。

この踵が着くとき、ふくらはぎの筋肉が衝撃を緩和させるために遠心性収縮(伸ばされながら力を入れている状態)という力の入り方で、踵が地面に着くスピードを遅らせてくれています。この緩衝作用が膝などの負担を減らしてくれる場合があります。

 

遠心性収縮という力の入り方は、筋肉の負担が大きいので、それに耐えられる程度の筋力は必要になってきます。

 

では、どうやって鍛えたらいいか?

私の場合は、出来るだけ簡単で普段の生活のちょっとした時にやってもらえれば十分と思って運動の指導をするので、やり方は簡単です。

 

【まっすぐ立ち、足を揃えて、踵の上げ下ろしをゆっくり行う】だけです。
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回数も厳密に決めず、歯磨きの時や台所に立っているときなど、やれるときに好きなだけやってください。壁や台などに指を付けて安定した状態から始めてもらって構いません(^^)

 

※やりすぎは注意!100回も200回もやらなくて良いです(^^;ちゃんと意識してやれば5回でも10回でも大丈夫です。

 

 

ただし、いくつか注意点があります。上にも書きましたが、

  • ゆっくりと踵の上げ下ろしを行う。
  • 足を揃えて、まっすぐ(天井から糸で引っ張られるようなイメージで)上げて下ろす。

 
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踵を上げたときに足の内側や内くるぶしが離れないように意識してやってみましょう!

※足の骨の配列や足首の動きの影響で、頑張ってもうまく出来ない方もいるので、そういう場合はお近くの専門家に診てもらってください。

 

 

最近は、子供も踵を上げたままキープできない子も増えています。

この前、指導している少年野球チームでもチェックするとほとんどの子が踵を上げて30秒キープ出来ませんでした。

 

 

立っているときも歩いている時も地面に着いているのは足だけですから、一度自分の足の状態や足首回りの筋肉の状態を見直してもらうと良いと思います(^^)

 

今回紹介した運動だけで階段を降りるのが楽になるわけではありませんが、筋力が落ちていたり、うまく力が入らない人も多いので参考になれば幸いです。

 

それでは今回はこの辺で。_(._.)_

良い姿勢をとり続けることの難しさを伝えることも重要。

三郷市の整形外科に勤務する理学療法士の恩田誠です。

 

「姿勢が悪いから首や腰などに痛みが出てますね」という言葉を耳にすることがあります。 

それも一理あると思いますが、理想的な正しい姿勢であったとしても長時間同じ姿勢でいたら、それはそれでどこかしらに負担がかかってくると思います。

 

理学療法士として、一般的な正しい座位姿勢という知識を持っていても、飲みに行ったり映画を観に行ったときに2時間も3時間も良い姿勢を貫き通すことはなかなか難しいことだと思います。

少なくとも自分は無理です(^^;…すぐだらっとしちゃいます。笑

 

だから、患者さんにも「良い姿勢を長時間取れるようにする」という目的でリハをすることはありません。

それを無理矢理、患者さんに押し付けるのは治療者側の自己満足だと思うので…。

※あくまで私見です。

 


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私は「座っていると腰が痛くなる」という患者さんに遭遇した時、もちろん座っている姿勢はチェックします。

 

それをチェックした上で、

  • 同じ座位の状態で重心の位置を変化させる能力があるか?
  • 重心の位置を変えるという動作の中で、どこか邪魔している部分がないか?

を診ています。

 

簡潔に言うと、「同じ座っている姿勢でも、ずっと同じ姿勢ではなく、少しずつでも姿勢を変化させて負担を分散することができるか?」という点に着目してアプローチをしたり、リハのプランを立てたりしています(^^)

 

 

地球にいる限り、少なくとも重力に抗って生きている訳なので、身体にかかる負担を全て取り除くなんて無理だと思っています。

それならば、いろんな場所に負担を分散するための方法論を提供したり、負担を分散できるだけの可動性や柔軟性を身につけてもらった方が良いのではないか…。

 

 

もちろん負担が少ない良い姿勢を患者さんに理解してもらうことも重要ですけどね(^^)でも、それだけが改善するための方法ではないと思います。

 

 

余談ですが……

少し前に、姿勢をものすごく気を付けていて、背筋は伸ばす。脚は組まない。背もたれに寄りかからない。などなど…。

あまりに気を付けすぎてしまうことで常に意識が身体に向けられていて、「なんでこんなに姿勢を良くしてるのに背中や腰が痛くなるんですか?」と質問してくれた患者さんがいました。

その時に上で書いたようなことを説明したら、その後良い方向に改善がみられてきたことを経験したことがあったので、今回は普段とは少し違った内容のブログを書いてみました(^^)

 

ちょっとしたことですが、誰かしらのプラスになれれば幸いです!(^^)

 

それでは今回はこの辺で。

肩甲骨の動きを良くする~前鋸筋編~

三郷市の整形外科に勤務する理学療法士の恩田誠です。

 

クリニックで診る肩の疾患の方や、トレーナーの現場で見る選手など、肩甲骨の動きが出にくい人は多いですよね?

 

よく肩甲骨の内側に指が入るぐらい内側の筋肉が柔らかくないとダメ!みたいなことを聞くことがあります。

 

もちろん肩甲骨の可動範囲が広いことは良いことですし、その上で動作をするときに肩甲骨を安定させられる状態であれば文句なしだと思います。

 

しかし、肩甲骨の内側の筋肉を柔らかくするだけで肩甲骨の動きが良くなったケースはあまり見かけません(^^;

 

肩甲骨の内側にある筋肉と言えば僧帽筋や菱形筋があります。
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特に菱形筋が硬くなっているケースの場合ですが、単独で菱形筋を緩めようとしても変化が出にくいことが多かったです。

 

菱形筋の硬さがあるときに、もう1つチェックしておいた方が良いのは、菱形筋の拮抗筋(反対の働きをする筋肉)である前鋸筋の柔軟性です。

 

前鋸筋は肩甲骨の裏側(肋骨側)から脇腹(肋骨)に付いている筋肉です。
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この筋肉は肩甲骨の安定性にも関連しますし、外腹斜筋というお腹の筋肉とも連結する重要な筋肉です。

 

臨床の中で肩甲骨の動きを出すために前鋸筋にアプローチをすると、前述したような「肩甲骨の内側に指が入るぐらい」肩甲骨の動きが良くなるケースがあります(^^)

 

もちろん、前鋸筋自体の柔軟性の低下なのか、肋骨の動きが悪いせいなのか…ちゃんと判断は必要です。

 

前鋸筋自体の柔軟性低下が疑われるなら、横向きの姿勢で肩甲骨の動きを出しながら、写真の矢印方向に軽くさするようなイメージで筋肉の硬さをとってもらうと良いと思います(^^)
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※強く押してしまうと結構強い痛みが出るので注意が必要。

 

 

 

肩甲骨は筋肉で支えられている骨なので、内側の筋肉だけを緩めれば動きが良くなるというわけではありません。

今回の内容のように拮抗筋である前鋸筋に着目したり、肋骨などの胸郭の動き、鎖骨、胸骨、脊柱、腹部など様々な視点からアプローチすることで動きが良くなってきます。

 

今回も「肩甲骨の動きを良くする」ための1つの方法ですが、少しでも参考になれば幸いです(^^)

 

 

それでは、今回はこの辺で。_(._.)_

 

※写真は全てクリニカルマッサージという本から引用。

体調不良のため少し休載

整形外科に勤務する理学療法士の恩田誠です。

 

…………まさかのインフルエンザ。

日中は元気と言えば元気ですが夜は38℃まで熱が出るので、ブログの更新はちょっとおやすみします。

 

次は肩甲骨の動きを良くするための話をまとめてみようと思うので、次回の更新をお待ちください_(._.)_

指を反らせないと腱鞘炎になりやすい?

三郷市の整形外科に勤務する理学療法士の恩田誠です。

 

今回は普段、医療現場ではほとんど介入することがない腱鞘炎(親指)について書いていきます。

なぜ、あまり介入することがないかと言うと、腱鞘炎という診断名では理学療法士が介入する運動器リハビリテーションの保険が算定できないからです(>_<)

 

だからと言って何も出来ないわけではないので、腱鞘炎で来院した患者さんにちょっとしたチェック法とアドバイスをしています。(ほぼサービスなので、クリニックの偉い人からは冷たい視線を浴びせられますが……笑)

 

まず、腱鞘炎では下の写真の箇所を痛めて来る方が多いです。↓↓↓


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どんな負担がかかっているかは長くなるので省略します。

 

⚫️チェック法

1、指がちゃんと反れるか?
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2、親指も含めてしっかりと手を広げられるか?
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3、手のひら側にしっかりと曲がるか?


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結構、腱鞘炎の人で指を反ることが出来ない人は多かったです。

最近は足の指を曲げましょう!というテレビは多いですが、手のことはまるで触れてくれません(>_<)手も足と同じように考えると、普段曲げていることが多いので反らすことも必要ということです!

 

あとは母指球の硬さを取ったり、手首を反らす筋肉の硬さを取るだけでも症状に変化が出てくると思います(^^)


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 ※クリニックマッサージという本から引用。

 

まずは試しにやってもらえると幸いです!(^^)